フェルール圧着工具購入と使用感

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フェルールの圧着工具も追加で買っちゃった! あとワイヤストリッパも。

なかなかのお値段だが、これからの信号線はほぼ全部フェルールになっていくため、(個人で買う人はあんま居ないかもしれないけど)持っておいて損はないと思う。

フェルールの圧着工具について、今までの経験を含めたあれこれ

今まで実際に見てきた工具は下記の4種類。その中での評価になります(ちなみに職場で写真を撮るわけにもいかないので、ほぼ文章のみでご容赦ください)。

  • WAGO:VarioCrimp4(旧型番206-204と新型番206-1204)
  • ワイドミュラー:PZ 6
  • フェニックスコンタクト:CRIMPFOX 6
  • フェニックスコンタクト:CENTRUS 10S

結論から言えば、圧着の綺麗さと使い勝手(と価格)が一番高いのはVarioCrimp4(旧型番)になります。但し、もう入手できないけど…

フェニックスコンタクト:CENTRUS 10S

使えることは使えるが、圧着部の爪と爪の間に目視できるくらいの隙間があるため、細いAWG24などを圧着する場合にはなんとも言えない妙なオニギリ形の断面に潰れる。本当にこれで大丈夫なのかと不安になるレベル。

しかも圧着後に爪がフェルールに引っ掛かって開かなかったりする。なんだこの工具(下の写真は形が判るように芯線を短めにしています)。ちゃんと導通はしてるんだけど、ちょっと不安ではある。

また、爪がカバーから少し奥まったところにあり覗きにくい。そのためフェルールを思った位置にセットするのが少し難しい(いっそカバーを外したほうが使いやすい)。グリップ部分だけで十分なのに、なんであんなカバー着けたの…

価格はWAGOの半額くらい安価なんだけど、あんまり使いたいとは思えない。

フェニックスコンタクト:CRIMPFOX 6

これはこれで丸型端子の圧着工具のように安価で使いやすい。が…

汎用圧着工具でコネクタのコンタクトとかをカシメたことがある人なら経験があると思うが、上下に押しつぶす関係上、圧着後に端子の根本が少し曲がってしまうあの現象が頻発する。そのため毎回手で曲げ直す必要がある。

10箇所くらい圧着なら「別に曲げ直せばいいか」で済むが、100箇所とかになってくると流石にめんどくさい。でも安いから少量の圧着には全然アリだと思う。

WAGO:VarioCrimp4

旧型番(206-204)の方はフェニックスコンタクトと異なり、構造上圧着部の爪の隙間がほぼゼロに近い作りになっている。AWG24でも多少は形が崩れるがちゃんと四角形に圧着してくれる。

また、圧着部の爪が剥き出しなので、フェルールの位置調整がしやすい。

ただ、今回買った新型番(206-1204)はどう考えても製造不良だろうと言えるレベルでとっちらかった物が届いたので(詳しくは後日)、自分でそれなりに手を入れて改造しないと使い物にならない。次の代替りまでこの製品は買わないほうが良いと思う。

狭所ならPZ 6(フロントローディング)

配線後の修整などで、ダクトからひょろっと出ている電線にフェルールを圧着する場合は先端が回転可能(フロントローディング可能)な機種が使いやすい。まぁそんな場面は経験上あんまり無いんだけど。

ただし、PZ 6はAWG24とかの細い線をかしめる場合は底面の2つある溝のうち1本を使う必要があるなど(フロントローディングしたいほど狭い場所でそんな芸当できるのか?)、普段の使い勝手は横から突っ込むタイプのほうが良いので、場面によって使い分ける形になる。

トータルで見た場合

今までの経験で行くと、フロントローディングはほぼ使わずVarioCrimp4(206-204の方)やCENTRUS 10Sだけで99%くらいはなんとかなる。ちょっと無理な場面は、手間はかかるがダクトから線を引っ張りだすなど工夫すればほぼ全部カバー可能。

クニペックスとか他のメーカーも気になるけど、使っているところを見たことはまだ無い。まぁ普通に考えたらフェルールを買ったメーカーからそのまま圧着工具も買うよねぇ。

ちなみに、プッシュイン端子台の方も国内よりWAGOやワイドミュラーなどの国外製品が数歩先を行っています(コネクタが付いてて線を一気に抜き差しできたり、OMRONより省スペースだったり、電子部品内蔵もあったり、カタログを見てるとけっこうおもしろいです)。

但し国内で調達しようとすると、メーカーによっては そもそも日本法人で在庫をあんまり持っておらず、購入しようとすると「今在庫切れで海外から輸送してるから納期一ヶ月です」なんて返答されることもしばしば。そのため緊急時の調達などを考えると結局国内製のがいいよね、となる。もうちょっと在庫が潤沢にあってどれでも一週間納期とかなら標準部品として使うんだけどねぇ。

フェルールの接続信頼性

フェルールの謳い文句として、増し締め不要というのがある。これはまったくその通りで、(体感ではあるが)ネジと比較して振動には非常に強い。省スペースだし、挿抜や分岐(ショートバー)の使い勝手は間違いなくネジ端子より上。

但し、(そんなことするほうが悪いんだけど)より線のままで突っ込んでから強く引っ張ると細い芯線がブチブチ切れて抜けてしまう傾向がある。フェルール端子での圧着はほぼ必須。

ただ万能とは言い切れなくて、過去にフェルール端子が問題になって一度だけネジ端子に戻したことがあった。フェルールはネジ端子と比較して数倍~10倍くらい接触抵抗が高く、接続点が多すぎて接触抵抗による電圧降下が許容値を超えてしまったのだ。

こんな微々たる差が問題になるケースなんてほとんど無いが、心に留めておいて損はないと思う(特に電源とかでそこそこ電流が流れるところにフェルールを使う場合は、事前に問題が起きないか一考したほうが良い)。

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