もうちょっと大きくしたい
一応これを買って大分グリップ力が上がったのですが、流石に16-300mmのレンズを付けるともう少しグリップ力が欲しくなる。
ちなみに買った製品が悪いとかそういう話ではなく、私の手はかなり大きい方なので、普通の商品だとマッチしないってだけです。
かといって、市販の分厚いグリップを買うと今度はレンズと指が干渉し始めるらしいのでなかなか難しい。カメラが小型化していくにつれて、その分いかに手にフィットさせるかというのは悩ましい問題です。
という訳で、売ってなさそうなので3Dプリンタで作ってみました。既に買ってあった前述の外付けグリップをベースに改造していきます。
グリップのトレース
こういうとき問題になるのが、グリップのような複雑な曲線をどうトレースしていくかです。私の場合はこのようにすることが多いです。
まずはできるだけ歪みを少なくして真上から写真を撮ります。今回は後付グリップの写真。

で、これをGIMPでしきい値とか手動で塗りつぶしたりして2値化します。

でもって、inkscapeでトレースして

DXFで保存してFusion360で読み込んだ後、どこかの寸法を実測してスケールや角度を調整します

ここまでくれば、これを原型にしてグリップ部分を作ります。試しに印刷して取り付けてみると、こんな感じでピッタリ合いました。合わない部分があれば微調整を繰り返します。
3次元的な曲線の場合は無理ですが、こういう一方向に押し出したような形状の場合はこの方法で大体うまくいきます。

形を模索する
ここからは最適な形になるまで、ガンガン試作を繰り返します。こういうときベルト式だと連続生産できて便利ですねぇ(ベルト上の横の線は、造形物を剥ぎ取った跡)。

作業を進めるうちにだんだん凄い形になってきた! シャッターボタンとかの配置は動かせないので、その中でなるべく持ちやすい形を探っています。

- 持ちやすいようにとグリップをカメラ前面側に伸ばすほど人差し指がシャッターボタンから逃げていく形になるので、ボタンが押しにくくなる
→ 人差し指付近は小さめにするほうが良い。 - かといって、全体を浅くしすぎると今度はホールドしにくくなる
といった感じで、操作性を維持しつつグリップする最適解を探すのが意外と難しいです。こういう一筋縄ではいかない設計作業って面白いですね!
形を決定
なんか良い感じの形状になってきました。シャッターボタンが垂直なカメラのグリップが大まかにこういう形状になってることが多い理由がなんとなく解って良い勉強になりました(これ以上持ちやすさを求める場合、シャッターボタンをCanonみたいなグリップ先端に斜めに配置する必要がある)。
見た目はともかく、グリップ力はかなり向上しました。しっかりホールドできている気がします。
これは外付けのグリップ部分にだけ接着すれば良いように作っているので、パンケーキレンズのように小さいレンズと組み合わせる場合は、グリップごと外せば元の大きさのまま使えるようになっています。

ちゃんと製作する
とりあえず家にあったフィラメントで試作してましたが、最後に黒いフィラメントを購入して本作に入ります。
グリップ部分にはなんかその辺に売っていたグリップ用テープを巻いてます。
製作したグリップと試作したグリップたちの残骸。

上から見るとこんな感じ

- なるべくコンパクト性は維持しつつ
- レンズに指が当たらないように
- 持ちやすい形に
と調整した結果、めっちゃ出っ張った形に。でも持ちやすさだけで言えばなかなか良い感じに仕上がりました(よく見ると細かい作りはいい加減)。
コンパクト性を少し犠牲にした結果、総重量1.2kgの状態でも(やろうと思えば)楽に片手で持ってシャッターボタンを押せるくらいには劇的に持ちやすくなりました。
裏側はこんな感じ。グリップの反対側の部品は、握りこむとフレームのエッジが手にめり込むので、当たり方を優しくするためのものです。片側の底面だけ2mm出っ張るので机に置くとちょっと斜めに傾くけどまぁ許容範囲内。

一応、手持ちのレンズを全て付け替えながら握っても指がレンズに当たることはなかったので、多分大丈夫なはず。
暫くこの状態で使ってみることにします。本体には一切手を加えていないので、小型のレンズを使う時は気軽にグリップを外せるのもけっこう良い。サムレストを買って持ちやすさを改善しようとしていたのが馬鹿らしくなるレベルで便利。

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