そもそも絶縁アンプは売ってないの?
絶縁アンプもけっこう世の中に存在するのだが、基本的に
- ADC→絶縁デジタルアイソレータ→DAC
という方式なので、早くてもSi8931の600kHzくらいが最速。まぁバッテリーの電圧監視とかインバータの電流検出用途とかを想定しているので、用途に対しては十分な性能といえる。でもプローブ用途には全然足りない。
ちなみにこの方式の素子自体を自作しようとすると、デジタルアイソレータだと(LVDSとか高級品は無視して普通のIOで考えると)最速で150MHzくらい。
例えば(超適当だけど)LTC2208 → SI86SL42BE-IS2 → MAX5585 の組み合わせとか。但し、ICだけで3万円ほどになる計算。しかも高クロックでデジタル処理してるのでノイズがけっこう出そう。
テクトロの光絶縁プローブは定価で1GHz/200万円くらいらしいので、50MHzくらいの帯域は出ると考えれば10万円となり、まぁ妥当っちゃ妥当か。
そのほかに、アナログ方式(HCNR201)で普通は大体1MHzくらい。前述の技術ノートみたいにもう少し突っ込んだ回路で10MHzくらい(LEDとフォトダイオードの応答周波数次第)。
更に情報を追いかけていると、トラ技の2008年9月号にHCPL-4562で15MHzの絶縁アンプを作る話が載っていた。
これをベースにして自作している方々もちらほら見える。
但し、PDが一個しか乗っていないので2個搭載して半ば無理やりフィードバックする必要がある。
ところでLi-Fiも最近話題で、数Gbps出るらしいけどどうやってるんだろう? と思って調べたら普通にレーザーを使っていた(レーザーダイオードは普通にGHzくらい出る物もある。但しLEDより10倍くらい高価な上に壊れやすい)。但し受光素子は相変わらずPDなので、そちらの方がボトルネックになってそうではある。よく知らんけど。
考えられる方式の整理
各方式を整理するとこんな感じだろうか
- 差動プローブを買う
- 100MHzくらいまである
- CMRRの影響がある(10MHz: >-30dB。コモンモード電圧が100Vなら3.16Vくらいのノイズレベル)
- 中国製の安いので3万円くらい
- 既製品なので、買うだけで済む
- 自作光絶縁
- 10MHz – 20MHzくらいまで
- CMRRがほぼ無視できる(IMRRというらしい)
- 1~2万円程度(になるかもしれない)
- 回路構成が比較的シンプルで低ノイズ
- 流石にGaNで1MHzスイッチングとかしてると能力不足に感じるが、200kHzとかの波形は普通に見れるので用途次第では有用と思われる。
- 自作磁気絶縁
- コイルとコアとホール素子で意外といけるか?
- 地磁気や電磁ノイズの影響を受けやすい(パワエレには不向き)
- ホール素子の場合、応答周波数5MHzくらいが最高らしい(Digikey調べ)
- コアは基本的に導体なので、絶縁が難しい
- 自作ADDAC絶縁IO式
- 多分50MHzくらいまで
- CMRRがほぼ無視できる
- 100Msps以上のADDAは高価なので、部品代だけで3~4万円以上になる
- ADDDA変換などで遅延が発生する
- 回路構成がけっこう複雑化する
- デジタル処理なのでそれなりにノイズが出る
- USBオシロ+アイソレータ
- 1chのUSBオシロとアイソレータの組み合わせを大量に用意して使う
- 気軽にローコストで絶縁測定が可能
- 汎用性が下がるのと、対地間の寄生容量が多分大きめになるので、ノイズ面で不利
アナログフォトカプラを自作できないか
HCNR201でも良いが、フォトカプラってそもそも自作できないのだろうか?
光学素子と言ったら浜松ホトニクス。カタログを見ると、カットオフ周波数70MHzとかのLEDがラインナップされている。LEDとしては凄まじい性能。どの道入手性が悪いので使えないけど。
あとVishayがVSLY5850(SurfLightシリーズ)というTr,Tfが10nsの赤外LEDを作っている。
こちらはIf=100mAの立ち上がり時間を測定しているのでガチで10nsと思われる。
ということは実質40MHzくらい出るはずなので本当ならかなり使えそう。
ラインナップを見ると、更にその上にTr,Tfが5ns(70MHz相当)の物もある。ほんとかいな?
ついでにレーザーダイオードも調べると比較的安価なものが存在する。といっても2700円くらいするけど。OPV310Yなどが使えそう(但しアナログ変調できるとは一言も書いていないので不安)。
フォトダイオードは少なくとも1ns以下の高速応答なものは普通に5000円~1万円越えてくる。
TEMD1040あたりが140円な割に4nsと高速でなかなか良さそう。

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