Creator Pro2を購入して、ひとまず作りたいものは作り終えた。
で、機体が空いているうちにもうちょっと静音化できなかなということでトライしてみる。
この内容は自分で部品のデータシートを読みながら電子工作が出来るエンジニア向けのものです。お約束ですが、あくまで参考までにとどめて下さい。何か損害が起きても一切責任を負いません。
TMC2209モジュールを購入
静音化って言うけどどうやれば良いんだか(いつも買ってきたアクチュエーターをほぼそのまま使うだけの人)。
色々検索するとTrinamic社製のものが高評価らしい。データシートを読むと [SpreadCycle] や [StallGuard] などの機能があり、なかなかどうしてステッパ用ドライバも色々進化してるんですねぇ・・・。
で、適当にAmazonあたりを探すとTMC2209モジュールが売っていた。5個で2660円(1個532円)という破格。本物なのかすら怪しい。
とりあえずダメ元で購入してみる。
待つこと2週間。無事にChina Postから届く。
- 流石格安クオリティといった感じの基板、でも一応動きそう
- 一応石は本物っぽい
- なんか商品写真と外観が違う(まぁ動けばいいや)
- ピンヘッダはなんでRXとCLKが上に延長されてるんだろう?
早速ピンヘッダを取り外してパターンを解析。


とてつもなくザックリだが、解析すると大体下記のような感じ。
- ピンのシルクが間違っている
- [TX]端子はICの[SPREAD]につながっている
- [CLK]端子はUARTのTXに接続する
- したがって、ピンヘッダの謎はシルクが間違っているだけだった
- [SPREAD]はオープン(SpreadCycle設定になる)
- 電流検出抵抗は110mΩ

続いてCreator Pro2の解析
エクストルーダーはフィラメントを送ってるだけでほぼ騒音源にならないので、今回は無視する。
まずはCreator Pro2のモーターとドライバを観察する。
X軸モーター
- MOONS’ STEPPING MOTOR
- TYPE 17HD4063-06N
- 型番から検索すると、どうやら0.84A

Y軸モーター(写真撮り忘れた)
- BOHONG MOTOR
- 42HB40F08AB-16
- 型番から検索すると、どうやら0.8A
Z軸モーター
- BOHONG STEPPING MOTOR
- 42HB34F04ASG-38
- 型番から検索すると、どうやら0.4A

Z軸ってそんなにトルク要らないんだなーという印象。
まぁ造形物は軽いし積層ピッチ分しか送らないから当然か。
そんでもってドライバの仕様も確認する。
XYZ軸ドライバ

- XYZは全て共通で[A4988]が使用されている(エクストルーダーは写真右側の緑色の基板で別物)
- 検出抵抗は270mΩ
いろいろ解析したところ、16マイクロステップで動作させているらしい。
電流はデータシートから、

- Z軸はVrefが0.647V→0.3A
- XY軸はVrefが1.457V→0.67A
で、定格よりちょっと低めで運用しているらしい。
(私も発熱や振動を抑えるために電流下げるのはよくやるので、普通と思う)
TMC2209モジュールの実装
これらを踏まえてTMC2209の設定を行う
- MS1~CLKはソケットから浮かせておく(ピンを外すか切っておく)
- 16マイクロステップに設定する
- MS1:High(VIOに接続)
- MS2:High(VIOに接続)
- TX(SPREAD):NC(StealthChop)にする
終わったら、その辺の安定化電源に繋いで半固定抵抗を回しつつVrefを調整する。
(具体的な電流の計算方法はデータシート参照)

- Z軸:0.424V(0.3A)
- XY軸:0.989V(0.7A)
調整が終わったらドライバを差し替える。
試してみたところDIRの定義が反対だったため、モータ出力(XHコネクタ)の1ピンと2ピンを入れ替える。
試しに動かすとちゃんと動く!ヨシ!
テストプリントも問題なし!
最後にヒートシンクを貼って終了。

ついでにファンの出力も下げる
モーターが静かになったとたんに、なんかファンがうるさく感じる。
底面を開けたついでに、冷却ファンもちょっと出力を下げておく。
ファンを取り外して安定化電源につなぐと、大体16Vくらいでも回るしちょっと静音になる。
24V,0.08Aなので、とりあえず100Ωくらいの抵抗を付けておく(0.7W以上の抵抗を使うこと!)。
でも出来たら山洋のファンに交換したほうが静かなんだろうな・・・
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